理想を抱く皆様へ〜祖国再生のための第一歩
理想という言葉は絶滅寸前の希少動植物のように、日本から消滅しかかっています。これが絶滅しないように日本人の誰かが踏ん張らなければ、日本という祖国に未来はありません。私の上の世代が夢を食い潰しつつあるとするのなら、次の世代である私達は残された夢を皆で育み、子の世代、孫の世代へと、伝えていく義務があります。
まず理想を抱き、その理想を実現するために夢を描き、そして、夢を実現するために行動する。このことの素晴らしさを、実際に示していく使命を最近痛切に感じています。
私が今計画し行動している行為は、すべて『祖国再生』のための社会実験だと考えています。社会実験で培われたノウハウは社会資源になるはずです。今日本に最も必要とされているのは、誰かが「私」を乗り越え理想に挑むという社会実験です。社会実験は時と運が味方しなければ、遂行できません。私は捨て身の構えで『祖国再生』のために、二つの社会実験を計画し、実行しつつあります。
一つは堂園メディカルハウス事務所を東京に作りました。全国にメディカルハウスの医療が広がるための足がかりにするためです。その第一歩として、平成12年9月24日に銀座で事務所開きの講演会をし、理想を語りました。そして、理想が実現するために参加者の協力をお願いしました。
まず、ボランティアの情報交流の場を目差します。色々な職種のプロが自分の技を少しでも社会役立たせたいと思いがあっても、何処で腕を振るえばいいのかわかりにくいのが現状です。事務所を情報の発信の場として活発に情報交換のできるシステムを作り上げます。多職種のプロによるボランティアの複合的ネットワークシステムが確立できればと思っています。
さらに、皆様と協力し東京にメディカルハウスを作りたいと考えております。医療を提供する側が中心になって作るのではなく、医療を受ける側と協力し作り上げていくのです。企画の段階から患者さんや家族の方、また、理想の医療を日本に創りたいと思う方々の英知を集約し、全く新しい概念の建物や治療、看護、医療経済のシステムを確立するのです。これからの医療のモデルを皆で協力し作り上げるのです。
患者さんが、「愛されている」、「必要とされている」、「大切にされている」と心から思える医療システムを実現するのです。
次に、小学校を作ります。
『祖国再生』の根幹をなすのは幼少教育にあると考え、環境、芸術、農業、徳育教育を土台とした幼稚園、小学校を一体とした九年小学校を目差します。最初の六年間に徳育を、次の三年間に知育を行います。現在、土地の目星が付き、土地購入計画を立てています。資金は全くありませんが、資金の当てが全く無いわけではありません。同じ理想を持ち、夢を共有しようとする人々が百花繚乱のように集まりつつあります。この小学校も、東京メディカルハウスと同じように、皆様の、社会の知恵を集約し作り上げます。
現場で現実にモデルを作ると行政や政治が取り上げます。すると、モデルが標準になり、理想が広がります。現在は前例がない物を作る勇気がないため、今日最高の物を作ってしまい、明日には過去の物になってしまっています。私は現場が協力しモデルを作り行政を変え、社会を変革するシステムを「new public」と名付けました。
「思いを諦めずに持ち続けると、偶然のようで実は必然として真実は歴史に登場する」ことを実感しております。正に今、私達の前に歴史が現れてきているような気がします。
ケネディはアポロ11号で月を目差す計画を立てた時、「We choose the moon」と演説しましたが、その演説の映像を観て、理想はchooseするものであることを知りました。人類は月を目指したから月へ到達できたのです。私はその時以来、「理想を現実に近づけるのではなく、現実を理想に近づけよう」と、いつも訴えてきました。すると理想に共感し、夢を共有しようとしてくださる人が必ず出現することも学びました。
精神科医フランクルはアウシュビッツの収容所に囚われた時、収容所にいるからこそ人々は夢を見ることができたと書いています。収容所生活から解放された途端に生きる目的を失い虚無的になった仲間を多数見たそうです。今、私達日本人は、日本という無秩序な空間にいるため、理想を抱き、夢を描く感覚を何者かにもぎ取られています。しかし、少しずつ気づきはじめています。気づきさえすれば、一致団結し理想や夢を共有すれば、収容所さえも一歩理想郷に近づけられるように行動できるのです。
諦めてはいけません。失望しても絶望してはいけません。
青年よ大志を抱け、すると、老人も大志を抱きます。
皆様も是非理想を描き、夢に向かい一歩でも行動を開始してください。また、私の考えに共鳴し夢を共有したいと思われた方は、協力してくださるよう切にお願いいたします。
皆様と偶然のような必然の時空を共有したいと思います。