思いは時空を超えて 6

真実を知って欲しい

私たちが知らなければいけないこと
私たちがしなければいけないこと
鹿児島市医師会有志「薩摩から医療維新を推進する会」作成 今こそ、「国民の、国民による、国民のための医療制度」を実現しなければ、日本の医療は、確実に沈没してしまう でしょう。
あなたは 知っていますか この事実を。
あなたは 知っていますか この事実を。
イギリスは、サッチャー首相が政策で、「競争原理の導入で、医療費を節減しながら質を上げる」を試みましたが、 完全なる失敗で終わりました。今、小泉改革は全く同じ政策を選択し、日本の医療は崩壊から破壊へと向かっていま す。
あなたは 知っていますか この事実を。
サッチャーは、長期にわたり医療費抑制政策をとったため、130 万人を超える入院待機患者さんが生じ、なかには入 院まで、1 年半以上待たされた患者さんもいました。また、救命救急部門における入院待機時間は 3 時間 32 分でした。 超音波の平均待ち時間が 8 週間になりました。日本の妊婦たらい廻しは、かつてイギリスでも同じでした。
あなたは 知っていますか この事実を。
イギリスでは、がん患者のうち緊急性のある患者さんに限っても、9 割の人が治療を受けるまでの待機期間は、乳が ん 62 日、大腸がん 95 日、前立腺がん 143 日で、ヨーロッパ諸国で最もがん患者の生存率が低いのです。がんになっ ても、進むのをじっと待つしかありません。
あなたは 知っていますか この事実を。
1991 年、イギリスの医学雑誌に「医者は不幸である」という論文が発表されました。その背景には「医者の長時間労 働」があり、イギリスは研修医の労働時間を 56 時間としているが、半数が超えており、専門医達も長時間労働のた めに疲弊しつくしていました。医療ミスは、国家の政策のミスによるものです。
あなたは 知っていますか この事実を。 イギリスでは医療費削減政策により、短時間に多くの患者さんを診る必要が生じ、そのため、医師のフラストレーシ ョンは高まり、医療従事者の自殺率は他職種に比較し高く、医師は 2 倍、看護師は 4 倍になりました。皆、医療従事 者は患者さんのために滅私奉公が当然と思っていませんか。医療従事者も頑張りたくても、限界のある人間なのです。
あなたは 知っていますか この事実を。 イギリスでは、医療従事者がこれほど頑張っても患者さんは待たされるため、患者さんによる暴力事件が多発し、2001 年には 95.501 件起こり、これすら 39%も過尐報告されていると推定されています。つまり、医師不足のために、長 時間労働しても患者の待機期間は延び、医師も患者さんも我慢の限界に達したのです。長時間待たされて 3 分間診療 は、医療政策の問題なのです。
あなたは 知っていますか この事実を。
日本の医師数は OECD 各国に比較し、人口 10 万人対で 100 名も尐ないのです。今年6月 文部科学省に出向中だった 医学教育課長 三浦公嗣氏(51)らが、東大など主要大学の医学部に「医師はなるべく増やさない方向で頼みます」 と電話をかけていた。(日経新聞 2008 年 10 月 10 日掲載)

あなたは 知っていますか この事実を。
文部科学省は、医学部定員を増やすことを決めましたが、
国立大学 42校で363人 平均 4.2人
公立大学 8校で 59人 平均 2.4人
私立大学 27校で271人 平均10.1人 最も増やす必要がある国立大学には、経費削減のためか微増であり、私立大学の負担が多くなりそうです。
あなたは 知っていますか この事実を。
日本の国立病院の研修医の平均労働時間は「週」92 時間です。これは、週 52 時間の時間外労働があり、月に 100 時 間(週に約 25 時間)以上という「過労死の認定基準」を軽く超えています。労働時間が週 90 時間で 4~5 日おきに 当直をしている医師の注意力は飲酒運転に相当する注意力しかありません。医師の過剰労働に理解を御願いします。
あなたは 知っていますか この事実を。 医師の勤務では、当直や休日日勤は、時間外労働とも休日の労働ともみなされません。それは、労働基準法の「労働 時間、休日等の適応除外の既定」であるためです。つまり、働いても、時間外労働に認められないのです。そのため か、研修医の 4 割が「うつ状態」といわれています。
あなたは 知っていますか この事実を。
日本では、医師が労働基準法を遵守すれば、病院経営は全く成り立ちません。さらに、医療費が抑制されれば、医療
従事者の士気は保てず、医療崩壊はさらに進むでしょう。9時に出勤し、5時に帰れる医者は5%以下でしょう。そ
して、時間外は、法律で認められていないのです。
あなたは 知っていますか この事実を。 医療研修推進財団のホームページには、「仕事を休むわけにはいけません。夜も眠れなくなったので、現在は心療内 科に通院しながら仕事を続けています」、「もう医者をやっていこうという気持ちがなくなりました」、「私も逃げ出す 準備を始めました」、「やめる決心がつきました」、さらには、「自己犠牲できない医者はリストラ」、「確実に増加し続 けるドロップアウト研修医」と、書き込みがあります。これは、研修だけでなく、医者全体の問題であり、医者が医 者をしなくなり、医者不足の原因の一つです。
あなたは 知っていますか この事実を。
日本がイギリスと同水準の医療抑制政策の下でも、医療崩壊を防げたのは、医療従事者の自己犠牲の基づく長時間労
働と心意気でしたが、それも、医師や看護師のうつ病、過労死、現場の忙しさから生じる医療事故等、日本の医療は
確実に崩壊から破壊へと向かっています。
あなたは 知っていますか この事実を。
わが国の国内総生産(GDP)に対する医療費の割合は 8.0%にしか過ぎません。
アメリカは 13.9%、ドイツ 10.7%、フランス 9.5%です。 それでいて、医療の質の資料と成る乳幼児死亡率世界最下位、平均寿命、健康寿命は世界第一です。WHO の保健医療 制度を医療の質や平等性という観点から総合的に評価した順位では日本は堂々の 1 位であり、アメリカ 15 位、ドイ ツ 14 位、フランス 6 位で、いかに医療従事者が努力しているかがわかります。
あなたは 知っていますか この事実を。

現在 35 万床ある療養病床の中の介護病床を 2012 年度までに全廃し、医療型病床 23 万床を 8 万床に減らし、最終的 には療養病床を 15 万床にする計画を。これでは、安心した老後は送れません。 厚生労働省は、在宅医療をすすめているが、実際は在宅死は激減しています。
あなたは 知っていますか この事実を。
2004 年、65 歳以上の独居老人が全国に約 410 万人いて、そのうち約 2 万人もの人が孤独死をむかえているのです。
あなたは 知っていますか この事実を。
国の試算では 2000 年度(平成 12 年度)の国民総医療費は 38 兆円になると予想しましたが、実際は 29.1 兆円で、そ の差は何と 9 兆円もありました。
2025 年には 59 兆円、2037 年には 80 兆円になると試算していますが、全く根拠がありません。1991 年に厚労省は 2010 年には 68 兆円、2025 年には 141 兆円になると試算しました。 いかに、試算がでたらめであるか、わかると思います。
あなたは 知っていますか この事実を。
国民総医療費には、税金からの支出があります(公費負担割合)。
昭和 55 年度は国庫負担割合は 30%、地方自治体負担は 5%、国民負担(患者負担+保険料)は 40%、事業主負担 25% でしたが、平成 17 年度には国庫負担は何と 25%に減尐しているのに、逆に国民負担は 43%(保険料 29%+患者負担 14%)に増えているのです。
あなたは 知っていますか この事実を。
国民総医療費 33.1 兆円のうち国はわずか 8.3 兆円(総医療費の 25%)の税金しか支払っていないのに、国交省の天 下り法人には国は 11 兆円もの補助金を払っているのです。
あなたは 知っていますか この事実を。
国の 8.3 兆円(25%)と地方自治体の 3.8 兆円(11%)を併せても 12.1 兆円(36%)しか国は支出していないのに、 患者負担は 14.4 兆円(患者負担 4.8 兆円、14%+保険料 9.6 兆円、29%)も支払っているのです。結局は民間負担 が主なのです。
なぜ、こんなにも医療費がかかるのでしょうか?
最新医療を受けていると、高額の医療費がかかる。
なんと!手術の時に使う機械や材料費が、アメリカの5~10倍
例)ペースメーカー
日本:160万円・アメリカ:40万円・イギリス:30万円
薬 日本:最新の薬は、欧米の5~10倍の値段 100人の病気の人がいたとすると..
とても重い症状    :1人           25%
次に重い症状    :4人           28%
3番目に重い症状   :5人           9%
4番目に重い症状   :15人        15%
軽い症状   :25人        13%
病気を持ちながら働いている :50人   9%

あなたは 知っていますか この事実を。
日本のモルヒネ製剤の値段は欧米の 2~4 倍です。日本のモルヒネ1人当たりの消費量は欧米の極端に尐ないです。 日本では、高いことも原因の一つでは。
あなたは 知っていますか この事実を。
イギリスは医療費削減政策を変えたことにより、看護師数は 33 万人から 39.8 万(21%増)に、医師は 9.4 万人から 11.7 万人(25%増)になり、重症者用ベッドは 2362 床から 3213 床(36%増)になりました。4 時間以上待っていた 救命救急患者は 2002 年は 23%もいましたが、2005 年にはわずか 1.3%までに減尐しているのです。
また、2000 年に「13 週間以上入院を待っていた待機患者」は 40 万人いましたが、2005 年には、何と、3 万 468 人に 減りました。「6 ヶ月以上入院を待機していた患者」も 27 万人から、4 万 806 人に激減しているのです。
私たちは、これから何を目指すべきでしょうか。 「効率」もですが、「公平・公正」を重視する政治や官僚に左右されない、新しい医療システムを導入することが大 切です。
そのためには、新しい第 3 者的な現場の声を重視する「最適医療研究所」の設立です。今の厚労省の幹部は殆ど、医 学部以外の出身であり、医療、福祉の現場に身を置いたことがない人ばかりです。
私たちは、これから何を目指すべきでしょうか。 格差社会が広がりつつある今、医療の分野だけでも「公平・公正」、「平等」を重視する。そのためには、医療の世界 では、「小さな政府」を前提にしないことです。 そして、国民一人一人が、自分の事として、選挙の時、政党ではなく、政策を重視し、また、政策の達成度を監視し なければいけません。
一人の患者さんを治すためには、その家族、地域、ひいては、国家まで治さなければいけない

-チェ・ゲバラ(医師・革命家)