どうしようもない不幸の連鎖

先日、母親が娘を8日間放置し、鹿児島の恋人に会い来ている間に、幼い娘が死亡するという痛ましい事件がありました。多くの人が鬼畜母親と思ったことでしょう。
その母親も母親からの虐待を受け、同じように餓死寸前で養護施設へ保護されていました。保護された時には、全身に包丁による切り傷が何十カ所もあり、しつけの一環として、切りつけられていたそうです。
今回の放置事件は、自分がされてきたことをしたまでとしか、思っていないのではないでしょうか。
高校時代は養護施設の暖かいサポートのお陰で、明るい高校生だったそうです。高卒後、東京へ行き、大都会で誰一人相談できる大人のいない世界では、避けられなかった出来事かもしれません。
だからと言って弁護するわけではありませんが、負の連鎖のどうしようもない不幸に、胸が詰まる思いがしました。
今コロナ流行のため、子育て中のシングルマザーの労苦は、想像以上と思います。社会的経済援助もですが、このような不幸が二度と起こらないように、未来の日本を支える子供たちへの援助も切にお願いしたいです。

現在、日本の虐待を受ける人は15万人と言われています。少しでもと思い、特別養子縁組みとファミリーホームに取り組みました。風に立つライオンの歌詞にある、「残念だけどこの国は大切なところで道を間違えたようですね」の言葉が胸に刺さります。
院長 堂園晴彦