この世を去ろうとしている患者さんの見舞いの方へ
韓国の医師で詩人の姜晶中(カンジョンジュン)氏は「実った果実の味から人々は過ぎ去った季節のことを後になって知る」と、書いています。
患者さんは病気が発病してから、ご本人の強い意志と皆様の支えを杖に、現在まで精一杯頑張ってこられました。
私共堂園メディカルハウスのスタッフも可能な限りサポートしてきました。
患者さんは、最期は堂園メディカルハウスで決めておりましたので、当初より病気が進行した時、どのような医療、ケアをして欲しいかを、何回も話し合いました。
ご本人の意向は、苦痛は取って欲しいが無意味な延命(食べられなくなってからのチューブ栄養や高カロリーの点滴、呼吸困難に対しての人工呼吸器の装着、痰が詰まった場合の気管切開、尿が出なくなったときの利尿剤の使用、血圧が低下した時の昇圧剤の使用等)はして欲しくないということでした。
尊厳ある生、死とはとの質問に、正しい答えはないと思います。
私は、尊厳ある生き方、死に方とはとの問いには、自己選択をして生き、自己選択に自己責任をとり、その結果としての死が尊厳ある死に方と思います。
患者さんは昨年の秋までの命であろうと言われていました。
しかし、本人の強い意志と御主人やご家族の献身的介護、また、皆様の温かいサポートで今日まで豊かな人生を送ることができました。
その姿が、今のお姿です。
私たちは
「実った果実の味から、過ぎ去った季節を知る」
ように、患者さんの心を感じ、
「よく頑張りましたね」
「ゆっくりお休みください」
のねぎらいの気持ちで、見送ってあげたいと思います。
心は風のようなものです。
どうぞ、春風のような気持ちでお見舞いを御願いいたします。